日々是好日(室長blog)

座右の書

皆さんはいつも身近に置いている、「座右の書」はありますか?
今日は自分の「座右の書」と云うには烏滸がましいかもしれませんが……
以前に好きな小説家さんの話はしたと思いますが、今日は小説以外の本です

目次

座右の書

美しい日本の私 ~その序説~  川端康成

この「美しい日本の私」~その序説~ を読んだ時に、日本人で良かったと思いました。

川端康成氏がノーベル文学書を受賞されたのは1968年です。ノーベル賞受賞の記念講演の内容が編集されたこの本の初版は翌年の1969年です。自分は7歳~8歳、リアルタイムで見聞きしたのではないのは事実です。今、手元にある本は2009年の第56刷りのものです。ちょうど「仏の教え」に興味をもった頃に出会った一冊でなかったかと思います。

春は花 夏ほととぎす 秋は月
冬雪さえて冷しかりけり

の道元禅師の歌に始まり、明恵上人、西行法師、良寛さんと日本の自然を歌った歌が続きます。そのあとも墨絵、茶道、華道、伊勢物語、源氏物語そして禅へ……
日本の美しい四季はそのまま日本人の心に中に美しく生き続けているとし、最後に「本来ノ面目」と云う禅語で結んでいます。

「本来ノ面目」とは… すべての人がもともと持っている自然のままの心性

自分も「本来ノ面目」は見つけられているはずもなく、いつまでも探すものだ思っています。見つけられるまでのあと何回読むことになるのでしょうか?

小説「雪国」の舞台 越後湯沢

般若心経 中村元:訳 平山郁夫:画

この本はお経の本と云うよりは、平山郁夫氏のポケット画集です。般若心経の解説が平山郁夫氏の絵と共に綴られています。
般若心経は、あの西遊記に登場する玄奘三蔵法師がインドから持ち帰えり漢訳されたお経のひとつです。このお経は「唯識」の思想と共に日本に伝わり法相宗として信仰されます。この法相宗の本山が奈良の薬師寺と興福寺です。奈良の薬師寺の玄奘三蔵院には平山郁夫氏の 「大唐西域壁画」 が奉納されています、自分はこの壁画が大好きです。この本にもその壁画の一部が登場します。

少し壁にぶつかると。平山郁夫氏の画をながめ、般若心経に励まされます。
いつも…羯諦、羯諦、般羅羯諦、般羅僧羯諦(行こう、行こう、さあ行こう、さあ行けるところまで行こう)と応援されます。  勝手な解釈です(^-^;

玄奘三蔵院

逆風に立つ(松井秀喜選手の美しい生き方) 伊集院静:著

この本はもともと「MODESTY 松井秀喜 つつしみ深い生き方」と云う本で刊行され。それに加筆・修正をして別の出版から刊行されたものです。書棚には「MODESTY」もありますが、2009年の松井選手のワールドシリーズでの活躍も加筆・記載されているこちらの本が今は手元にあります。
自分は「読売ジャンアンツ」は好きではありません(*_*;、しかし、松井選手は好きです。この本を読んで好きになったのが先か、松井選手に興味を持ったのが先かは記憶が曖昧です。伊集院静氏の他の小説から入ったような気もします。いずれにしてもこの本には松井線選手のつつしみ深く、美しい生き方がたんたんと綴られています。そして2009年11月4日のヤンキース・スタジアムの場面ではいつも涙が浮かびます。このシーンはリアルタイムでTV観戦していました。自分が観た野球のゲームの中で一番美しいゲームです。

好きな文章があります
「戦後、日本がアメリカに送り出すもっとも美しい日本人」と松井選手を表現します。松井選手がメジャーリーグ挑戦を決めた時、読売ジャンアンツファンをはじめ、こころよく思わない方がいたのも事実です。そんな中での記者会見、松井選手は美しい日本語で切々を語ります。
「私、松井秀喜は今季取得したフリーエージェントの権利を行使いたしまて、来季よりアメリカメジャーリーグでプレーすることを望み、その道を選びました」
「日本のファンの方を裏切ることになるかもしれません」
「決断した以上は、命を懸けて戦ってきます」
この会見を観た伊集院氏が後に文章にしたのが「戦後。日本がアメリカに送り出すもっとも美しい日本人」という表現です。そして、松井選手はその通りに行動し活躍して、ニューヨークから愛され、ヤンキースのレジェンドに加わったのです。2009年のワールドシリーズと共に永遠に語られると事になります。

ニューヨーク

「座右の書」は時と共に移り変わるかもしれません、それだけ自分も変わっていくからです。変わらない部分も残したいと願い、この本を大事にしていきたいと思います。

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